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歳時記

外に出て、電車に乗る。

窓の外には、ぬぼっとした曇天が。
ああ、これは眠たくなるのだろうなあ。
と、少し覚悟をしたが、
いや、きょうはアレを持ってきたのだ。
なんだかさっぱりしない出だしに、
いやしかしさっぱりした今後の期待をしながら、
鞄から取り出したのは歳時記。
俳句の季語を網羅し、ハンディ辞書の分厚さを彷彿とさせる。
それでいて、読み物としても楽しめる。
解説に味があるのだ。

たとえば、夏の季語、「麦茶」「麦湯」。

 

殻のついたままの大麦を炒って似出した飲料。香ばしい香りと素朴な味が喜ばれる。砂糖を加えて飲む方法もある。炎天を歩いてきての一杯の麦茶は、まさに甘露。(『今はじめる人のための俳句歳時記 新版』角川学芸出版・編 150頁)


解説の味、それはどこかというと、
その筆致の柔らかさ。まるで、溶けかけた氷砂糖ような、ほのかに甘い文体。
もうたまらないのだ。読みだすと、嘆息してしまう。

あとあと、「噴水」の解説もとても素敵なのだ。

 

公園をはじめ、庭園などにしつらえられ、水を高くあげる装置。その様子はいかにも涼しげ。公園の噴水のほとりは、恋人など人との待ち合せ場所としても使われている。噴水のしぶきが、風の向きによって顔などにかかるのも趣がある。(同上 153頁)


麦茶より伺える噴水のアツさ。そして食い気味の嗜好。
書き手の筆圧が感じられるところが、
「イイ~、とてもイイ~~!」
と悶絶してしまう。

 

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で、肝心の句は捻っても捻っても一句も詠めず。
ぬぼっとしたまま、さっぱりしないままいまになってしまったとさ。あらま。

今はじめる人のための俳句歳時記 新版 (角川ソフィア文庫)

今はじめる人のための俳句歳時記 新版 (角川ソフィア文庫)