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パティニール・ブルー

美術に疎いが興味の感度はいっちょまえ、な私は、
毎日の予定が何もないことをいいことに、
平日の東京都美術館の敷地に足を踏み入れた。
煉瓦の赤土色が映える館内を、慣れない者らしくおろおろしながら、
ふらついたまま「『バベルの塔』展」へ。

 

ブリューゲルの『バベルの塔』は、
風景、人の営みをこの上なく細密に描き切り、感嘆するばかり。
また、想像したものよりもサイズが小さく、
そのコンパクトさが、ブリューゲルの描く絵画の、
細やかかつ逞しさをさらに引き立てている。
感嘆しつつ、恐ろしい。

ただ、私の心奪われた絵画は、『バベルの塔』ではなかった。
パティニールという画家の、『牧草を食べるロバのいる風景』だ。
うすく晴れた、水色と緑色が淡く重なる空の下、
手前には緑の茂る丘、見上げれば、滔々と流れる大河と、
空との境界線が薄まっていく稜線が眼前に広がる。
まるでその場に立っているよう。
自然の透明な空気、青と緑の淡い空気を肌に受けているかのように、
この絵画を真正面から眺めると、美術館にいる私の意識がフッと抜ける。

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パティニールの絵画に立ち止まりつつ、
意識のなかでは絵画の世界にいて、丘の上から広大な風景を眺めていた。
驚いたのは、その意識のなかで、
私は誰かと一緒にいたわけではなく、ひとりでいたことだ。
ふだん、しきりに寂しがるくせに、
こういうときには独り占めするから調子がいいよな!

上野公園は、修学旅行生の集団がキャッキャと群れていた。
そっかあ、そういう時期かあ。
はるか前の私の修学旅行を思い出したりしながら、
公園口改札を目指しずんずんと歩いた。