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【読了】「少女七竈と七人の可愛そうな大人」桜庭一樹・著

 

 

 

私が、勝手ながらそばにいたいと、もっとも強く感じた人物は、七竈ではなく、雪風でもなく、みすずでもなく、優奈でもなく、ピジョップでもなかった。‬

 


‪そのどれもの固有の身体ではなく、そのどれもにある内面のそばにいたいと思ったのだ。

かれらの内面には、性の渦を知ることも理解することもできずに、ただ飲み込まれていく無力さがある。他方で、脱皮によって力強く生きんとする七竈の、性を生きる美しさがある。ただ無力な読者の私は、そのいずれの内面のそばにいたいと切望し、ページをめくり続けた。‬

 

‪七竈は、心優しい人だ。とても人間想いだ。慈愛の人だ。慈愛を向けることができるのは、自分にかかる呪縛を解いたものなのだろう。痛みを痛みとして言語化し、認識した者だけだろう。七竈は、美しい人だと感じた。‬もちろん、私の言う「美しい人」に顔の美醜は含まれない。

 

痛ましいほどの依存から脱皮した七竈は、清々しく旭川を発った。どこにでも行けることを知った。私は、呪縛が解かれた瞬間に愛を知るような、そんな感動を覚えた。その姿は美しい。しかし、寂しい。また、希求し続けるなかでの薄い優しさを向ける者も、痛ましいほどに美しい。‬

 

 

‪とても苦しい小説だった。‬
‪何度も捨てたくなった。しかし手は次のページをめくり、視線は文字を追う。私の身体が呼んでいた。性を生きる七竈の姿を追っていたのだ。‬

 

 

‪性は考えるものではなく、行動するもの、かもしれない。‬
‪性はまた、知るものではなく、未知であり続けるもの、かもしれない。‬
‪そして性は、分かるものでもなく、翻弄するもの、かもしれない。‬
‪そんな存在の「性」と、どうやって生きよう。‬

 

私は混沌としたところにやられた気分で、でも感謝の想いが溢れ出る。苦しくも手放せない小説だった。