4ブロックの散文

頭が弱くなった。心の中で響いたそのひとことを、認めざるを得なかった。私は、頭を使わないあまり、脳の機能が低下してしまった。その実感が、日に日に強まっているのだ。たとえば、つい数分前に話したこと、昨日語ったこと、数年前にこぼしたこと、それら…

窒息

苦しい。 体に力が入らない。 「心のスイッチ」とたとえるならば、 その在り処が知れない。 生きる気力も知れない。 今、何かしら死が待ち受けているとしても、 佇んだまま、微動だにせず眺め続けるだろう。 窓の外を。 誇らしいほどの青空で、 窓越しに熱気…

過活動の嵐よ去れ

①京都市内を流れる鴨川の、川が二又に分かれる出町柳のデルタ。幼少のことだった。飛び石を渡りながら対岸を目指していた。ふとバランスを崩して、片足だけ川に落ちてしまった。 ②風鈴の、江戸切子のように透き通ったガラスに差された赤と青の、金魚と水のよ…

貴方へ言いたいこと

私の中にはもうひとりの私がいる。 と書いてみると妙に意味ありげ、バックボーンの思わせぶりな態度だが、そのような深く重たいものでなく、ただ単に、私を監視する私がいるだけのことだ。その存在は、私が心を患って以降、欠かせない役割となった。彼の仕事…

決して手抜きではない

今年はじめてかき氷を食べた。 机の上で、威圧感を漂わせながら、でん、と佇んでいる。氷が硝子の器の倍は積み重ねられていて、抹茶味のシロップが、殴りつけるように荒々しく掛かっている。かき氷を食べるときに、存在感なんて考えたこともなかった。それも…

お知らせ

『前のブログの記事』というカテゴリに、はてなブログをする前の、ライブドアブログで書かれた記事をインポートしました。振り返って読むと、自分で言うのも変ですが、力をかけた、切実な文章だったのが、少しだけ力を得たような気になりました。お時間と余…

「言葉は想いを縛り付ける」というはなし

ここ最近の反省ごととして、 思っていることをSNSに載せすぎ、 ということがあったため、 このごろは、持ち歩きに適しているノートに 悩みや考え事をつらつらと書き連ねている。 それは近年、私が心がけていることで、 自身に転換を促したいときに使うやり方…

「美」のはなし

なぜ私は音楽を聴くのだろうか。 音が始まって数分間ガチャガチャ鳴り続け、 やがてサッと引いていき、 真っ黒な無音が数秒あったあとで、 またトチ狂ったような轟音がはじまって、 そう考えたら、 なぜこんなに、 私は取り憑かれたように音楽を聴いているの…

書き起こし「酔えること」

疲れたが、明日もあるし、いや明日は何の予定もないが、でも、予定に組み込まれないものも「予定」のうちのもので、起床から就寝までの連続した「予定」が、いつまで続くとなると、生きているうちか、でも救いがあると思えるのは、お酒を飲むと酔えるわけで…

美味しいビールを飲んだ夜

はじめてひとり飲みというものをした。新宿西口の思い出横丁。なぜよりによって、人生初のひとり飲みを、そんなディープな場所に選べたのか、自分の意外な胆力に驚く。 いや、でもたしか、そう、あの日は日曜日で、誰も飲む雰囲気でない街の表情で、その中で…

母と造花と酔い

私は私の文章が好きで嫌いだ。天邪鬼なだけなんだが、好きになっては突き放す、を繰り返す。痛ましい気になるのは、私によって生まれた文章たちに向けて、だ。私が母であるにもかかわらず、母に愛されない子はどのように青々しく生きていけるっていうのだ。 …

「突発的」のこと、突発的な書き手のこと

※とにかく自由に書きたかった。セオリーとはズレた書き方ではあるが、自分自身で許した。許してほしい。 足跡3つほど手前のころに、脳細胞が活発化した時期があった。小説が(つくり話が、知らない人の話が)書きたい。それだけを頭が占めていた期間のことだ…

哀しみを薄墨

哀しみの一文に心奪われるのは、 今まで、私が、哀しみ、というものに過敏だったからなのだろうか。この哀しみを、蓄積した哀情を言語化することにためらいがある。 それは、言語化によって取りこぼされる哀しみが、 全体の大半を占めているからだ。 (この…

折々のことば

「三日坊主」の言葉もあるなか、私には継続して何かに取り組んだ、という経験が乏しく、新しい物事に手を出しては、本当に3日でやめてしまう。しかし、今日まで続いていることが、2つある。ひとつは、3週間続き、もうひとつは、2週間を終えたところだ。「し…

ビル風にさらされた

先日、ある集まりに参加した。 集まりといえば友達や知り合いとのお茶に近いものも想像できるが、それよりはさらにマジメでシビアなものだ。それは私も含めて数人の参加者と、それと同人数のスタッフがいる規模のもので、グループワークの終わりに、スタッフ…

夏のアイコン

真夏に鳴く蝉さえも、木陰に入り暑を凌ぐありさま。うるさいけれど暑苦しくない、絶妙なミンミンの音を聞いたのは、昨日が初めてのことだ。どこからか、みいんみいん……と、たよりなくか細い音で、1匹の蝉の鳴き声が、窓越しに聞こえてきた。しかし、やがてぱ…

帰らぬままの散文

午前3時を過ぎた。私は、急激な衝動に曝されて、目覚めたくもない方法で、目覚めたくもない時間帯に、睡眠状態から引き戻されてしまった。現実に。頭のギアが入らない。いや、操業には時間が早すぎるから、それはよいことではあるんだけれども、それにしても…

じめじめに口語体

少しだけ心が折れました。なにがあったわけでもないのですが、こう、遠くへ行ってしまいたい気にもなりません。面倒だ、という余計な気持ちが私のなかにかなりあって、動いたらそれはそれで楽しくなろうに、という選択肢を、自ずと消極的に、「めんど」のひ…

診察待ちのメモ

いくら晴れていようと、 梅雨時は梅雨時なことはかわりないので、 やはり皆、 どこかで滞留する心地を抱いているのだろう。今日の病院の診察待ちは、 気が立った口調に、 気が立ったクレームを 受付の人にぶちまける人が多かった。普段は、そのような人もお…

夕景

もし私の記憶がリセットされた状態で、4人の成人が横並びで目の前に立ち、「誰が貴方の両親でしょうか」などと選ばされたとしたら。私は、嗅覚のみで、ちゃんと正しく選べるだろうか。という、寝惚けたことを考えながら目覚めた。 人間関係で、のちにハッと…

ソール・ライター展

とにかく圧倒された。曲線的なラインには、一般的に直線より柔らかく、暖かく、優しいイメージがつくが、彼の写真は必ずしも同様にいえるわけではなかった。いっぽう、影の強さと直線の多用によって、人工的な冷たさが際立つように想像できるが、それもまた…

緑の並木

自分の思うより、私は体力がないことを知った。就労移行施設での体験で、電卓での計算を1時間半こなしたあと、ふいに、疲労とめまいに襲われてしまった。ええ……こんな作業だけで……? 緑いっぱいの中野通りを、赤い車体の関東バスが走り抜ける。たった数か月…

いいよ

昨晩、ふいに、全自動の動作の一部のような脈絡のなさで涙が流れ、それから、気持ちが沈んでしまって仕方なくなった。なんでもなく涙が止まらなくなり、つられて心が締め付けられる痛みにやられ、なにがなんだかわからず、手にこぶしを作って、爪の噛みあと…

昔の記憶

眩しい記憶が引っ張り出された。思わず淡いため息をつき、また思わず閉じていた目をあけて、ゆっくりと舌で転がしたのち、未練を振り払おうとした。その一連のこと。 放課後の音楽室で、私はチューバを吹いている。中学に比べて、私の体力が落ちた実感がある…

音楽(夜)

手が震えるとか身体が震えるとか言いながら、結局、音楽ばかり聴いていた。まあ、土曜日らしいか。 好んでいる曲を。 1.Life of Pause / Wild Nothing Wild Nothing // Life of Pause (Official Single) 2.まともがわからない / 坂本慎太郎 まともがわから…

音楽(昼)

お菓子でもいただいたあとくらいの時間に、少しだけダウンしているから、気晴らしに選曲。 1.日々の泡沫 / 森は生きている 森は生きている -日々の泡沫 2.owari no kisetsu / rei harakami Rei Harakami - "Owari no Kisetsu" 3.Leave It / Yes Yes - Leave …

海のような

海に行きたくなった。行けばいいだろうに、少し渋るのが我ながら呆れる。うじうじしている間に、身体の震えが起きて、機会を逸した。嘆くわけでも悲しむわけでもないのは、ちょっとどうなのか。 千葉の鋸山からみた、東京湾。思わず載せてしまうほど海に行き…

自宅の生活

ここ2日、いっさいの外出をやめ、家の中にいた。ボーっとしてみよう。じっと休んでみよう。と思い、意識して中にいてみたのだった。私は、家にいて1日をすごすということがかなり苦手で、必ず扉を開けて外の空気を吸わない事には、1日が幕を閉じない、という…

カタカタ

今日は、都内のオフィスまがいのスペースで、仕事まがいの仕事をしていた。パソコンに向かい、ひたすら童謡の歌詞をワードに書き写す仕事。仕事まがいらしく、賃金は発生しない。賃金が目的ではなく、ましてや童謡も目的ではないので、いい。歌詞を打ち込み…

あのトイカメラ

ベタベタのトイカメラを返品交換してもらうことに。どれほどのベタベタかというと、触れたとたん、指に移ってしまうほどであり、放置していたら、埃がまんべんなくくっついてしまうほどのもの。封を開け、はじめて手に持ったときから、「あ」と、すべてを察…

夕焼小焼

私の住む区は、午後5時半になると、防災無線を通して、少し褪せた音色の「夕焼小焼」が流れてくる。20年以上同じ場所で育ってきた身としては、毎日聴く音色に慣れていたのだが、しっかり聴いてみると、その音色の掠れ具合が、まさに夕焼け小焼けに似合うのだ…

手の感触が、いっときなくなった。まるで腕から先が透明になったように、感触を見つけられない。でも、私はさほど慌てるわけでもなく、ただ平穏でいるわけでもなく、布団に横たわり、安静に安静を尽くしてみた。すると、血液が入りはじめたように、実感がこ…

歳時記

外に出て、電車に乗る。窓の外には、ぬぼっとした曇天が。ああ、これは眠たくなるのだろうなあ。と、少し覚悟をしたが、いや、きょうはアレを持ってきたのだ。なんだかさっぱりしない出だしに、いやしかしさっぱりした今後の期待をしながら、鞄から取り出し…

林檎みたいな

プールに行きたくなる。だいこん畑の隣の区民プール。1時間200円。2コイン。2コインでバタフライだって自由に泳げる。私はバタフライを泳ぐのが好きだ。バタフライは、荒っぽく飛沫を立てがちな泳法なのだが、だからこそ、私はしなやかに波を立てずに泳ぎた…

ぼとぼとと窓を叩いた シャワーの雨

1日、2日書くのをあけると、呆気ないほど書き方を忘れてしまう。あれ?どうやって書き始めたっけ?書き始めも分からなければ書き終わり方も忘れてしまった。そもそも始めなければ終わり方は知らなくていいんだけども。ええー……と。 蒸している。雨がざばざば…

ピアノ・ソナチネ・トイカメラ

ピアノレッスン。私にしてはよく練習した方なので、先生の前でも自信をもって鍵盤に向かった。……つもりだったが、そういう時ほど気を引き締めるべきだった。気がついつい急いてしまい、右手と左手のリズムが合わない、指が普段以上にもつれてしまう、強弱が…

冴えてる丑三つ時

サニーデイ・サービスの新譜が、配信サービスでリリースされた。さっそくApple Musicで追加して、雲マークから落として、順々に聴いていく。ちょっと前まで解約しようと考えていたのに。やっぱりデータはもっておきたい、借り物は不安で脆い、と思っていたの…

安酒深酒

カクテルを4杯飲み、焼き鳥をたらふく食い、それでいてひとりあたり2,100円。ここは楽園か。極楽か。はたまたさては鳥貴族か。 大学時代の友達に会った。卒業式以来の再会だ。お互い、前のように同じような暮らしぶり、とはいえないまでも、それにしてもうま…

パティニール・ブルー

美術に疎いが興味の感度はいっちょまえ、な私は、毎日の予定が何もないことをいいことに、平日の東京都美術館の敷地に足を踏み入れた。煉瓦の赤土色が映える館内を、慣れない者らしくおろおろしながら、ふらついたまま「『バベルの塔』展」へ。 ブリューゲル…

田園風景

郊外電車に乗って、埼玉県内のとある街へ。大宮を出ると、ビルや住宅の密度がゆっくりと薄まっていき、3駅ほど抜けると、辺りは緑に囲まれた。やや傾き始めた日差しをまぶしく反射する水田。目線をあげると連なりそびえたつ鉄塔。関東平野の果てにそびえる山…

最高気温30℃を翌日に控えた20時前

暑くもなく寒くもなく。半袖でもなく長袖でもなく。このくらいが丁度いい。偽物でない夏が来る。その前に梅雨も来る。不意打ちの長雨。時折の雷雨。晴れになるほど、または天気が荒れるほど身体が元気になる私とすれば、中途半端な雨量で攻めてくる梅雨が好…

2355

深い考えなしに見ているEテレのなかでも、心の底から頭を使わなくていい素敵な番組、それが2355。癒しの5分間。何の意味もない。細野晴臣が歌うテーマ。最高。 一時期、高校生のころだったかな。姉妹番組、0655も見ていたんだけど、無意識下で「いや、その沼…

コンタクトレンズ

コンタクトレンズを外すときの、指が眼球に触れる、あのぞわっとする感覚。禁忌に触れたかのような背徳感。あと単純に、「いたそう」の気と闘う恐怖。で、はずれたとわかるや否や味わう爽快感。指にはりつく乾いたレンズをすぐにゴミ箱に捨てたくなる感情。 …

2017/05/24

湿った夜風が、レースのカーテンをふっと揺らす。レースの格子のあいだを通り抜ける。部屋にふわっと入り込む。多少の湿気は、カーテンが絡めとってくれたのだろうか。湯船からあがったばかりの身体を、涼風が撫でていく。ある年の12月によく聴いていた曲を…

2017/05/23

威勢よく眠ろうとしたが、そもそも元気なころに意識を飛ばせるはずがない。いくばくかのチャンスはあった。魂が身体から抜けはじめた感触や、両手両足が、時間をかけて透明になっていく実感もあった。それなのに、いやそういう局面だからこそ、ついつい欲が…

2017/05/21

とにかく暇をしているときがある。ただただ何もすることがなく、手持ち無沙汰がピークに達したようなときだ。時間をドブに捨てているように思えるも、それでもせっせと時間を手放し続けるあの気だるさ。しかし心の底では、しなければならないこと、課されて…

2017/05/15

5月も半ばに入った。天候が揺れに揺れる。暑さに適応する準備をはじめた途端、肌を逆なでするような寒い日々が訪れる。中間がない。ちょうどいい日がない。おかげで、のどの奥に若干の違和感がある。頭もくらっと揺れる。風邪の手前も手前の体調だ。若干怯え…

2017/05/08

とある日、コーヒーを淹れた。コーヒーを淹れてみた、という言い方が正しいかもしれない。 日も暮れかけたころのこと。夜が片足を突っ込むころ。ふと、「コーヒーを淹れよかな」と思い立った。しかし、カフェインに弱い私が、そんな時間にコーヒーを飲んでし…

2017/04/23

これが私の選択なのだ、と、私を信じてあげたい。私の選んだ道を、私が進むことを、肯定して守ってあげたい。前進するための準備を、私は今まさにしているのだ、と、抱き締めて、前へ促してあげたい。 私を愛しいものとして抱き締める。たとえ形から入るとし…

2017/04/02

黒が好きだ。死と生のすべての色。遠くで見つめていたい。