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帰らぬままの散文

午前3時を過ぎた。私は、急激な衝動に曝されて、目覚めたくもない方法で、目覚めたくもない時間帯に、睡眠状態から引き戻されてしまった。現実に。頭のギアが入らない。いや、操業には時間が早すぎるから、それはよいことではあるんだけれども、それにしても…

じめじめに口語体

少しだけ心が折れました。なにがあったわけでもないのですが、こう、遠くへ行ってしまいたい気にもなりません。面倒だ、という余計な気持ちが私のなかにかなりあって、動いたらそれはそれで楽しくなろうに、という選択肢を、自ずと消極的に、「めんど」のひ…

診察待ちのメモ

いくら晴れていようと、 梅雨時は梅雨時なことはかわりないので、 やはり皆、 どこかで滞留する心地を抱いているのだろう。今日の病院の診察待ちは、 気が立った口調に、 気が立ったクレームを 受付の人にぶちまける人が多かった。普段は、そのような人もお…

夕景

もし私の記憶がリセットされた状態で、4人の成人が横並びで目の前に立ち、「誰が貴方の両親でしょうか」などと選ばされたとしたら。私は、嗅覚のみで、ちゃんと正しく選べるだろうか。という、寝惚けたことを考えながら目覚めた。 人間関係で、のちにハッと…

ソール・ライター展

とにかく圧倒された。曲線的なラインには、一般的に直線より柔らかく、暖かく、優しいイメージがつくが、彼の写真は必ずしも同様にいえるわけではなかった。いっぽう、影の強さと直線の多用によって、人工的な冷たさが際立つように想像できるが、それもまた…

緑の並木

自分の思うより、私は体力がないことを知った。就労移行施設での体験で、電卓での計算を1時間半こなしたあと、ふいに、疲労とめまいに襲われてしまった。ええ……こんな作業だけで……? 緑いっぱいの中野通りを、赤い車体の関東バスが走り抜ける。たった数か月…

いいよ

昨晩、ふいに、全自動の動作の一部のような脈絡のなさで涙が流れ、それから、気持ちが沈んでしまって仕方なくなった。なんでもなく涙が止まらなくなり、つられて心が締め付けられる痛みにやられ、なにがなんだかわからず、手にこぶしを作って、爪の噛みあと…

昔の記憶

眩しい記憶が引っ張り出された。思わず淡いため息をつき、また思わず閉じていた目をあけて、ゆっくりと舌で転がしたのち、未練を振り払おうとした。その一連のこと。 放課後の音楽室で、私はチューバを吹いている。中学に比べて、私の体力が落ちた実感がある…

音楽(夜)

手が震えるとか身体が震えるとか言いながら、結局、音楽ばかり聴いていた。まあ、土曜日らしいか。 好んでいる曲を。 1.Life of Pause / Wild Nothing Wild Nothing // Life of Pause (Official Single) 2.まともがわからない / 坂本慎太郎 まともがわから…

音楽(昼)

お菓子でもいただいたあとくらいの時間に、少しだけダウンしているから、気晴らしに選曲。 1.日々の泡沫 / 森は生きている 森は生きている -日々の泡沫 2.owari no kisetsu / rei harakami Rei Harakami - "Owari no Kisetsu" 3.Leave It / Yes Yes - Leave …

海のような

海に行きたくなった。行けばいいだろうに、少し渋るのが我ながら呆れる。うじうじしている間に、身体の震えが起きて、機会を逸した。嘆くわけでも悲しむわけでもないのは、ちょっとどうなのか。 千葉の鋸山からみた、東京湾。思わず載せてしまうほど海に行き…

自宅の生活

ここ2日、いっさいの外出をやめ、家の中にいた。ボーっとしてみよう。じっと休んでみよう。と思い、意識して中にいてみたのだった。私は、家にいて1日をすごすということがかなり苦手で、必ず扉を開けて外の空気を吸わない事には、1日が幕を閉じない、という…

カタカタ

今日は、都内のオフィスまがいのスペースで、仕事まがいの仕事をしていた。パソコンに向かい、ひたすら童謡の歌詞をワードに書き写す仕事。仕事まがいらしく、賃金は発生しない。賃金が目的ではなく、ましてや童謡も目的ではないので、いい。歌詞を打ち込み…

あのトイカメラ

ベタベタのトイカメラを返品交換してもらうことに。どれほどのベタベタかというと、触れたとたん、指に移ってしまうほどであり、放置していたら、埃がまんべんなくくっついてしまうほどのもの。封を開け、はじめて手に持ったときから、「あ」と、すべてを察…

夕焼小焼

私の住む区は、午後5時半になると、防災無線を通して、少し褪せた音色の「夕焼小焼」が流れてくる。20年以上同じ場所で育ってきた身としては、毎日聴く音色に慣れていたのだが、しっかり聴いてみると、その音色の掠れ具合が、まさに夕焼け小焼けに似合うのだ…

手の感触が、いっときなくなった。まるで腕から先が透明になったように、感触を見つけられない。でも、私はさほど慌てるわけでもなく、ただ平穏でいるわけでもなく、布団に横たわり、安静に安静を尽くしてみた。すると、血液が入りはじめたように、実感がこ…

歳時記

外に出て、電車に乗る。窓の外には、ぬぼっとした曇天が。ああ、これは眠たくなるのだろうなあ。と、少し覚悟をしたが、いや、きょうはアレを持ってきたのだ。なんだかさっぱりしない出だしに、いやしかしさっぱりした今後の期待をしながら、鞄から取り出し…

林檎みたいな

プールに行きたくなる。だいこん畑の隣の区民プール。1時間200円。2コイン。2コインでバタフライだって自由に泳げる。私はバタフライを泳ぐのが好きだ。バタフライは、荒っぽく飛沫を立てがちな泳法なのだが、だからこそ、私はしなやかに波を立てずに泳ぎた…

ぼとぼとと窓を叩いた シャワーの雨

1日、2日書くのをあけると、呆気ないほど書き方を忘れてしまう。あれ?どうやって書き始めたっけ?書き始めも分からなければ書き終わり方も忘れてしまった。そもそも始めなければ終わり方は知らなくていいんだけども。ええー……と。 蒸している。雨がざばざば…

ピアノ・ソナチネ・トイカメラ

ピアノレッスン。私にしてはよく練習した方なので、先生の前でも自信をもって鍵盤に向かった。……つもりだったが、そういう時ほど気を引き締めるべきだった。気がついつい急いてしまい、右手と左手のリズムが合わない、指が普段以上にもつれてしまう、強弱が…

冴えてる丑三つ時

サニーデイ・サービスの新譜が、配信サービスでリリースされた。さっそくApple Musicで追加して、雲マークから落として、順々に聴いていく。ちょっと前まで解約しようと考えていたのに。やっぱりデータはもっておきたい、借り物は不安で脆い、と思っていたの…

安酒深酒

カクテルを4杯飲み、焼き鳥をたらふく食い、それでいてひとりあたり2,100円。ここは楽園か。極楽か。はたまたさては鳥貴族か。 大学時代の友達に会った。卒業式以来の再会だ。お互い、前のように同じような暮らしぶり、とはいえないまでも、それにしてもうま…

パティニール・ブルー

美術に疎いが興味の感度はいっちょまえ、な私は、毎日の予定が何もないことをいいことに、平日の東京都美術館の敷地に足を踏み入れた。煉瓦の赤土色が映える館内を、慣れない者らしくおろおろしながら、ふらついたまま「『バベルの塔』展」へ。 ブリューゲル…

田園風景

郊外電車に乗って、埼玉県内のとある街へ。大宮を出ると、ビルや住宅の密度がゆっくりと薄まっていき、3駅ほど抜けると、辺りは緑に囲まれた。やや傾き始めた日差しをまぶしく反射する水田。目線をあげると連なりそびえたつ鉄塔。関東平野の果てにそびえる山…

最高気温30℃を翌日に控えた20時前

暑くもなく寒くもなく。半袖でもなく長袖でもなく。このくらいが丁度いい。偽物でない夏が来る。その前に梅雨も来る。不意打ちの長雨。時折の雷雨。晴れになるほど、または天気が荒れるほど身体が元気になる私とすれば、中途半端な雨量で攻めてくる梅雨が好…

2355

深い考えなしに見ているEテレのなかでも、心の底から頭を使わなくていい素敵な番組、それが2355。癒しの5分間。何の意味もない。細野晴臣が歌うテーマ。最高。 一時期、高校生のころだったかな。姉妹番組、0655も見ていたんだけど、無意識下で「いや、その沼…

コンタクトレンズ

コンタクトレンズを外すときの、指が眼球に触れる、あのぞわっとする感覚。禁忌に触れたかのような背徳感。あと単純に、「いたそう」の気と闘う恐怖。で、はずれたとわかるや否や味わう爽快感。指にはりつく乾いたレンズをすぐにゴミ箱に捨てたくなる感情。 …